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KICKBACK

キックバックについて

次に電動工具使用時に注意しなければ行けないキックバックについてテーブルソーを中心に考えてみたいと思います。

キックバックとは

簡単に言うと「回転する刃物の力により加工材が弾き飛ばされること、または逆に工具が弾かれコントロールを失うこと」

ちなみに工房で使用しているテーブルソーの丸鋸刃は直径254mm、回転数3000rpmですから、その外周の速度は143.5km/hrに達します。さらに小型のベンチトップソーでは回転数は4700rpmに上がりますから224.9km/hrにもなります。このようなすさまじい初速で発射される材は恐ろしい凶器となり下手をすれば内臓まで突き破ると言う事になるでしょう。

僕も木工を始めた当初、キックバックと言うものを理解しておらず、ベンチトップソー使用中にキックバックにより親指大の材の破片をお腹に受けたことがありましたが、その痛さと言ったらもう・・・あざが1ヶ月ほど残りました。あの時は小さな破片で本当に助かりました。あれが細長い槍のような材だったら・・・・ああ恐ろしぃ。

なぜキックバックが起きるのか?

回転する刃物に対して材が押し付けられることにより材は刃物が回転する方向へ動こうとしますが、材の切断、加工中はこの力に対抗して材を送ることにより切断、加工が行なわれます。
この時(特に切断直後)に材が刃物に押し付けられる力だけが残り、材を送る抗力がなくなると瞬間的にキックバックが起こります。

なぜ材が刃物に押し付けられる力だけが残るのか?

テーブルソー使用時の具体的な例を見てみましょう。
まず基本ですが、テーブルソー使用時、一般的に丸鋸刃の右側にフェンスがあります。そしてこのフェンスと鋸刃の間の材は他に逃げる余裕がなく鋸刃に接触している間中常に鋸刃に押し付けられている事になります。そのため材を送る際この右側の材は材のお尻が鋸刃の後ろを完全に抜けるまでは手を離してはいけません。

では、いくつか具体的な例を写真で見てみましょう。

キックバックが起こり易い方法 キックバックを防止する方法

加工材を直接フェンスに沿わせてクロス
カットをしています。このままでは切断直
後フェンスと鋸刃に挟まれた材が弾き
飛ばされます。

フェンスの手前に小さな板を固定してあ
ります。この板に合わせて材をマイター
ゲージに固定し送り出します。材が切断
される時にはフェンスと材の間にはこの
板の厚さ分の隙間が空いています。

鋸刃は手前に回転していますので鋸刃
の後ろ側は材を上へ持ち上げようとし
ます。写真のような小さなプッシュスティ
ックではこの力が押さえられず材がまく
れ上がってくることがあります。

このような大型のプッシュスティックを使
用すればまくれ上がろうとする板を押さ
えつけることができます。

幅の狭い材を加工する際は安全確保
のためフェザーボードの使用が欠かせ
ませんが、フェザーボードを鋸刃の横
に置いてしまうとフェザーボードが材を
鋸刃に押し付けキックバックの原因とな
ります。

フェザーボードを装着する場合は必ず
鋸刃よりも前の位置に装着します。

丸鋸の刃を傾け斜めにリッピングする
場合、このテーブルソーは刃が右側に
傾きます。これを普通どうり右側にフェ
ンスを持ってくると、フェンス―丸鋸刃
―テーブルの三角に挟まれた材はどこ
にも逃げ場がなくなり、キックバックを
起こす原因となります。

この場合必ず鋸刃の傾く反対側にフェンス
を持ってきます。こうすれば材は上また
は横に逃げることが可能です。

この他にも芯持ち材を縦に切断する場合など切断中に加工材がギューンと内側に反って自ら鋸刃に押しついて行くと言うこともあります。

このようなキックバックを防止するのに一番大事なパーツはスプリッターと呼ばれるものです。
上の写真でも一部使用しています。スプリッターは鋸刃の後ろに装着して材が鋸刃に押し付けられないようガードするための物です。このためスプリッターの厚さは使用する丸鋸刃のカーバイトチップの厚さよりも薄く、鋸刃のボディーの厚さよりも厚くなければいけません。
しかし残念なことに日本製、米国製のテーブルソーに付属するスプリッターは使いにくく事実上使いものになりません。それはスプリッターが刃の上下動に連動していないと言う点と刃とスプリッターの間隔が開きすぎている点が問題です。このため細かい材の加工時や、溝きりなどの際にはスプリッターを取り外さなければなりません。僕の使用しているスプリッターはオプションで購入したビーズマイヤー社製のもの(これだけで100ドルもした。)簡単にレバー一つで取り外しができるようになっています。
しかし一般的に付属するスプリッターはプラスチック製のブレードガードと一体でテーブルソーにネジ止めするものが多いい様です。溝切りの際にいちいちボルトを外したり面倒なことをする人はいませんから、一度外したらあとはそのままと言う人がほとんどです。

「The Table Saw Book」の著者 Kelly Mehler もセミナーで絶賛していたのが欧州製テーブルソーに付属するスプリッターです。通称半月板と呼ばれるもので、鋸刃のすぐ後ろに半月状のスプリッターが刃の高さよりも若干低く固定されており、この半月板は完全に刃と連動して上下に動き傾きます。このため溝きりの際にもスプリッターが使用できるそうです。欧州製スプリッターを詳しくお知りになりたい方はJUBALさんのホームページをご覧ください。

なぜこのような良いものが米国にはないのでしょうか?
どうもこれは規則と関係していそうです。欧州製のテーブルソーを米国の工場で使用する際にはなんでもアメリカ式のブレードガードとスプリッター(OSHA-米国労働安全衛生局-規格)に交換しなければならないそうです。
安全に関するものほど規則が厳しく、より安全なものが自由に使えないと言う。どこの国も一緒ですね。

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